昭和な体育会系の会社
その会社に入社したのは今から4年前。市内でも有数の規模を誇る会社のグループ会社に社内SEとして入社した。
入社当日にまず違和感ががあった。あるはずのタイムカードが無かったのだ。働き方改革が叫ばれる中、今どきタイムカードがない会社なんて珍しいと思うが、この会社には本当に存在しなかった(あったのは出勤簿に印鑑を押す作業)。
もちろん過去に務めていた会社の中にはタイムカードがないところもあった。ただそこは契約社員という立場で、残業は一切なく定時で絶対に帰れるところだったので問題は無かったが、正社員で残業がありそうな会社なのにタイムカードが無かったのである。
思い返せばこの時点で不思議な会社であったと思うのだが、その後この疑いは確信にかわることとなる。
職種は社内システムエンジニア
その会社での業務内容は社内システムエンジニア。親会社やグループ会社のシステムやパソコンに関する保守業務を一括で請け負う会社だった。
例えばパソコンが起動しないとか、フリーズしたとかはもちろんエクセルのこととか、メールのトラブル、プリンタのトラブル、ネットワークのトラブル、スマホなどPCまわり全般のトラブルのほか、PC導入(セットアップ等)も行った。
さらにその会社では業務に使う専用システム(基幹システム)を導入していたのでこれの運用や保守も行っていた。
また、その専用システムは会社内にサーバを持ちそこから起動して動かしていたのでこれのトラブル対応やメンテンスという業務もあった。
そして本社がすぐとなりにありここのサポートのほか、グループ会社が道内に数箇所。東京にもあったのでこれのサポートも行っていた。
そのため基本的に電話が良くなる会社で、その電話もトラブルが立て込むとひっきりなしに鳴りとても大変だった。
さらに親会社は早朝4時頃から夜9時ぐらいまで営業しており、かつ休みの日も普通に誰かが出勤して仕事しているのでこれに関して何かトラブルが発生すると出社前だろうが、退社後、日曜日や祝日などに持たされた会社携帯がなる状態だった。
残業は基本的に申告制。時間外も同じで無給奉仕がほとんど。
休日でも多少の電話なら許容できるが、大概かかってくると数十分~長いと1時間以上かかるトラブル対応がほとんど。
しかもリモート接続してPC作業が発生するため、休日は自由に外出できないという致命的な部分があった。しかもその接続に使ってたPCは会社所有ではなく、個人で買ったノートPCやデスクトップPCという始末。
そして極めつけは上記の休日のトラブル対応をしても一切給料が発生しないサービス時間外労働だった点。電話が鳴ったら平日の早朝だろうが、退社後だろうが、休日や祝日だろうが関係無しで、無給労働となる。
退社後のトラブル電話はその対応のために一度帰ったはずなのに戻って作業するということが何度もあった。これはブラック企業以外の何物でも無いと思う。
従業員の労働時間の把握は企業の義務化に
2019年4月から企業や事業者に対し、「従業員の労働時間の把握」が義務化された。
これは適切な勤怠管理や労務管理を行うことにより長時間労働や過重労働を防ぎ、従業員の適正な健康管理、安全な就業環境の提供を実現するためにある。
そのため義務化された以降はタイムカードを導入し、社員がどれぐらいの時間働いているか管理する必要性が発生しているのだが、この会社では2019年4月以降もタイムカードが導入されることなく、昔ながらの出勤簿のみ。
その理由として上司は「タイムカードを導入すると時間管理なんて絶対できない」と言っていたが、これは会社都合の言い訳にしか過ぎず、労働者側からみると愚の骨頂と言わざるを得ない。
不規則で変則的な時間帯であっても従業員の労働時間は適切に管理されなければならず、それに応じて適切に給料が支払われないとならない。時間管理ができないことを理由にそれを放棄することはあってはならいない。
親会社はタイムカードが導入されていたが、労基への通報により指導が入ってしぶしぶ導入した経緯がある。きっと自分が辞めた以降も未だにタイムカードが未導入で労働時間の管理は行われていないと思う。
また、従業員の労働時間に関する記録簿(タイムカード等)も2020年4月からは過去5年間保存しないといけなくなっているのだが、未導入なので全然保存されていない。
代休も満足に取れず、有給はもっと取りづらい
システム保守の会社なので、休日に出てきてやらなければならない事がたまにあった。
平日に代わりで取得するのだが、満足に取ることはかなわなかった。代休で休んでいても会社携帯は普通に鳴ってトラブル対応させられるのでこれまた苦痛。
さらには有給休暇なんて全然取れず、法律で義務化された5日も1日ぐらいしか取ることができなかった(そのくせ自分以外の上司や他の社員は結構休んでたけど)。
休日も年間105日以下の会社なので土日祝の大手企業の社内システムエンジニアよりはかなり疲労がたまりやすかった。
もちろん休みの日も普通に会社は誰かが出勤して働いているので、問題が発生するとそのトラブル対応をせねばならなかった。
知らない事が多すぎて業務対応に苦慮する
この会社の問題点は長い労働時間や休日の無給対応、多忙な業務以外にもうひとつ致命的な部分があった。それは誰も知らないシステムや仕組み、あるいは1人しか知らない事が存在し現在進行形で使い続けていたこと。
そのためこれでトラブルと相当大変だった。何も分からないのでどうすることもできず、知っている人に対応してもらうか、知らないことは会社に残っている資料などを片っ端から探ってなんとかするという事態だった。
しかも問い合わせしてきた相手はこっちが知っているものだと思っているから、わからないような話をすると相当嫌な雰囲気を出された。これはかなり精神的に参った。
退職を申し出るも昭和論による社長の引き止め
あまりにもの激務や休日の電話対応で精神的にまいって、社長に退職願を出したのだがその時の引き止め方が昭和そのものだった。
自分の若い時はこうだったと話して電話対応も別に違法じゃないみたいに言いくるめられ、何故かその時自分は納得してしまい退職話がそこでストップした。
ただ、その後仕事で精神的にさらに追い詰められれた後は退職代行を使って、社長と話さず辞めてやったけど。
評価制度があいまい
親会社で億単位の大損失となった事件が発生した。ただ、その原因を作った人はほとんど処分されることなく、代わりにその上司が処分されて東京に飛ばされていた。
この会社の評価制度は、成績の良し悪しではなく、上の人間に好かれているかにある。
ブラック企業でも旭川で有数規模。自分なら絶対に入社しない。
ずらっと会社の悪いところを述べてみたが、この内容でも旭川の中ではかなり大きい方で、パートやアルバイトを含めるとグループ全体で1000人ぐらい、売上高は500億ぐらいになる。
こんな企業旭川でもトップの方だから若者が旭川で就職したいとは思えず、転出が増えて若年層が減っていく原因のひとつになっているのではと個人的に思う。この会社以外にもブラックな企業は旭川に多いと思う。
自分がこの会社を他の人に勧めるかというと絶対にノー。時間帯が不規則で、休日対応が無給でそのわりに給料はあまり良くなないからだ。忙しいのが大好きな仕事人間であれば大丈夫だと思うが、今の若い人は絶対に好まない企業だと思う。
働き方改革が叫ばれる昨今。旭川でも労働環境が悪いところは人が集まらず、辞めていいく一方で悪循環になりやすいと思う。
企業側も少しでも若い人材を確保しようと働き方改革をするところが出つつある。完全に売り手市場になっているので、ブラック企業だと思ったら辞めてそこから脱出するのも一つの手だと思う。
辞めづらい環境なら「退職代行」は大いに有用な手段でもある。ライン経由で日曜日でも受け付けているので、自分を傷つける前に一度確認してみてほしい。
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