人手不足で道北バスが土日祝ダイヤを継続運行・その理由や背景
旭川市内を中心に路線バスや都市間バス、定期観光バスを運行する「道北バス」が2023年4月以降も一部を除いて土日祝ダイヤでの運行を継続することがわかった。
※道北バス公式ページより
道北バスは2023年1月18日より、乗務員のコロナ感染の影響で当面の間の処置として土日祝ダイヤでの運行を行っていたが、この発表により今後もしばらく平日はダイヤ減便での運行継続する。
公式発表によれば、減便運行は慢性的な乗務員不足が大きな要因であるとしている。
道北バスでは乗務員の時間外労働、公休出勤などでバスを運行するなどの対応のほか、採用活動を積極的におこなうなどあらゆる手立てを講じてきたが限界を迎え、現状の平日ダイヤの運行は困難との結論に至ったとしている。
また時代的な背景としても大型2種免許取得者が減少していたり、既存の乗務員(社員)が高齢化&定年退職で居なくなるなどもある。今いる人が辞めても新しい人が入ってこないのであれば必然と乗務員不足になる。
特に旭川市内では20歳~30歳の若者が20年前に比べると半分まで減少しており、採用活動をおこなってもただでさえ若者が少ないのに、加えてその中でも大型2種免許取得を持つ若者を採用することは困難を極めていることが容易に想像できる。
旭川電気軌道も平日に土日祝ダイヤで減便運行
もう一つのバス会社、旭川電気軌道も2022年12月5日よりコロナ感染拡大で平日でも土日祝ダイヤで運行するなど、減便を行ってた。
ただし、旭川電気軌道の場合は2023年4月のダイヤ改正後の2023年4月3日より通常運行でのバス運行に切り替わる。
ただし53番路線の廃止と55番路線の新設に伴い、72番などが一部廃止となる。
twitterではこんな投稿があった。2016年3月のデータで少し古いのだが給料が安すぎるという投稿。
少し古いですが2016年3月のバス運転手給料明細です。
運転手不足は若者の車離れとかも言われていますが、根本にあるのは給与水準の低さになると思います。
メディアは、もっとこの部分を取り上げで国に働きかけた方が改善されて行くと思います。#給料明細 #元バス運転手 pic.twitter.com/Ehz137CXVh
— 札幌の『しょうご』動画配信者 (@shogo_tv_) March 19, 2023
これによれば北海道大手・バス乗務員の1ヶ月の給料は23日労働、175時間勤務で総支給額が208,258円で、差し引かれて手取りが159,532円。
専門の資格を必要とするプロドライバーがこの安月給では、仕事と対価が釣り合わないと強く感じる。
さらにバスの乗務員は大型2種免許を取得するのに40万~50万円もかかるうえ、ただでさえ難しい運転業務、責任に加え乗客などと何か仕事中にトラブルが発生すればSNSで晒されてしまうなど、高リスクな点も不人気な理由となり、人手不足に陥りやすいとされている。
若者の採用以外に、待遇改善を行わないとたとえ採用できても長続きせず、すぐに辞めてしまって安定した乗務員確保が難しくなると思う。
またバスの乗務員は土日祝などの運行もあり、シフト勤務で休めない業種。小中高、大学や専門など土日祝が休みの環境で育ってきた若者からは嫌煙されがち。
さらに人手不足となれば安月給で長時間労働となる傾向にあり、「休日は月4日、多くて月6日」、「1日あたりの勤務時間は10時間以上」「欠勤者が出た時には、代行出勤で休みが減る」など労働環境が劣悪な部分も不人気になりやすい。
地方都市こそバス会社の改革や待遇改善が急務・これからも減便や路線廃止は増え続ける
定年退職で乗務員が減って、新規採用できないとあればこれからも減便が継続するどころか、さらなる路線廃止や減便となることが推測される。バス会社だけでない行政や国単位での支援も必要になってくるのではないか。
特に公共交通機関が発達していない地方都市ではバスが唯一の足という人も少なくない。自家用車が乗れる人は問題ないが、いずれ高齢になって運転が困難になればバスに頼らざるを得ないケースも出てくる。
そうなった時、バスが減便して不便になっていたり、あるいはバスそのものが消滅してしまうと生活にも支障をきたしてしまう。
乗務員不足は今後高齢化が加速する地方都市では死活問題であり、早急な対策が必要になると思う。
運行時間にとらわれないAIを活用したオンデマンド式バスの導入やバス以外にジャンボタクシー、自家用車の乗り合い、Uber系の白タクシーなど含め何らかの対応が迫れられている。
地方のアシの問題はすぐそこまで深刻化してきている。
旭川市では2023年度の予算で旭川市路線バス乗務員確保対策助成金を実施
旭川市では令和5年の予算の中で、バス乗務員の安定的な人員確保を目的とし大型自動車第二種免許取得に必要な教習及び大型自動車第二種免許試験の受験資格特例教習の受講に要した経費の補填額を補助金として交付することが決定した。
条件としては
- 該当年度以降に上川中部定住自立圏を除く他市区町村から本市へ移住
- 転入日から1月以内に本社が市内にあり,市内を営業区域として現に運行している路線バス事業者(以下「対象乗合事業者」という。)に就職した者
- 申請時点で年齢が40歳以下
助成額は道外からの移住1名に付き定額30万円、道内者は10万円の2種類。
ただしこれにより人材不足が解決するかは未知数であり、特に市内の若者が就職するケースはこの助成金と対象外となっている。
あくまで道外や上川(旭川市,鷹栖町,東神楽町,当麻町,比布町,愛別町,上川町,東川町,美瑛町)以外の他市町村からの移住者が対象。
旭川市内はタクシー会社も人手不足
ちなみに似たような業種のタクシー会社でも旭川市内では人手不足が深刻化していると聞く。
若い人が採用できず既存のドライバーは高齢化し、定年退職したくてもできないぐらい乗務員が居ない状況らしい。
このままタクシー会社でも人手不足が進めば、タクシーという選択肢も使えなくなってしまうかも。
2023年7月のダイヤ改正で道北バスの平日・土日祝ダイヤ運行が終了 通常ダイヤに回復
2023年6月まで減便ダイヤでの運行だった道北バスだったが、2023年7月のダイヤ改正と共に減便運行を終了。平日も通常通りのダイヤに戻った。

ダイヤ改正により既存路線減少や本数削減など以前よりも運行数が減った可能性があるが、利用客の多いメイン路線では平日ダイヤ運行の復活により利便性が回復した。
コメント