日本各地でオンデマンドバスが登場 人手不足・人口減時代の新たな交通手段
日本のあちこちで従来の路線バスとは異なる乗り合い型の「オンデマンドバス」が登場し、段々と普及しつつある。
出典:大阪メトロ
オンデマンドバスとは?
オンデマンドバスは従来の路線バスとは異なり、決まった路線を持たず時刻表も無い新しいバスの形態。
出典:大阪メトロ
バスといっても従来の一般的な大型の路線バスとは異なり、ハイエースやミニバンをベースとした7~8人乗りのワンボックスカー(ジャンボタクシー)を使うのが一般的(場合によっては最大10人乗車できる場合もある)。
路線バスに必須な大型2種免許が不要で、タクシーと同じ普通自動車2種免許で乗れるのもポイント。また路線バスよりも車両が小型なので、住宅街でも入りやすく小回りがきき運転しやすい。
乗る場合も従来のようなバス停は無く、かわりにオンデマンドバスの乗降場所が住宅街や商業施設前などに多く設定され、スマホのアプリや電話予約で乗車前に伝える。
出典:大阪メトロ
ルートはAIが自動的に選択し、運転手のカーナビに表示されるのでこれに沿って道路が自動選択される。複数乗客が居てそれぞれ目的地が違う場合は、最適なルートをAIが自動で判断し、運転手はこれに従って運行する。
普通のタクシーなら途中で違うお客さんを乗せること無く目的地まで直行するが、オンデマンドバスは状況に応じて目的地の途中でも違うお客さんを乗せ、いろんな経路で目的地まで乗り合いで移動する。このあたりがバスという名前がついている所以でもある。
料金も一回200円~350円程度で路線バスと似たような価格設定。バスのような待ち時間も無く、利用したい時の予約に応じて随時運行されるので、交通の便が悪くバスの本数が少ないところほど有用だ。
バス会社側からしても、無駄なガソリン代を消費せず必要なときだけに運行するので、効率の良い運行ができるようになる。
旭川ではバス会社の人手不足が深刻化し、土日減便ダイヤが平日に常態化するなど年々悪化 オンデマンドバス導入も視野に?
人手不足・人口減と悪い労働環境によりバス運転手が不足
全国的にバス会社で人手不足が発生し、バス運転手が居ないことによるダイヤ減便や路線減少、廃止など既存サービスの悪化を招いている。
バス運転手が集まらない要因は
- 安い給料のわりに早朝や夜遅くまで拘束時間が長い
- 日曜日も出勤がある
- 人手不足ゆえに休日出勤しなければならない
- 客とのトラブル
- 大型2種免許の取得に時間とお金がかかる(その割に給料が安い)
など数々の問題を抱えている。実際、旭川の道北バスでは昨年あたりから運転手不足により平日でも土日祝ダイヤで運行せざるを得なく、本来のダイヤによる運行・サービスが実施できていない。
なお、2023年7月のダイヤ改正で道北バスの平日・土日祝運行(減便)は解除され、通常運行に戻った。
オンデマンドバスは運転手不足・減便対策に?
オンデマンドバスは上述したように従来の路線バスとは異なり大型2種免許が不要な乗り物。
取得が難しい大型2種免許よりも取得しやすい普通自動車2種免許(タクシーの免許)を持っていれば、オンデマンドバスを運行できるので、路線バスの運転手を募集するよりも人を集めやすい。
また、利用者が少ない路線はお客ゼロで運行することが多く、走らせるだけでも赤字コストがかさんで減便→いずれ廃止と悪循環となってしまう。
オンデマンドバスであれば利用者が居るときだけ運行すればよく、お客ゼロで走ることは無いのでコストの観点からも効率的。また大型路線バスに比べハイエースなどの乗用車ははるかに燃費が良いので、燃料代や車両の維持費も安く抑えられる。
北海道では札幌市や石狩市で実証実験が行われ、今後のサービス実施にむけて検証がおこなわれていく予定だ。
北海道では札幌などの大都市圏を除いて公共交通機関が発達していない地域が多く、自家用車の利用が極めて高い。免許を返納したくても足が無くなることから返しづらい地域事情がある。
オンデマンドバスが普及し、自家用車と同じような利便性のサービスが当たり前となり、返納後の足が無くなる心配がなくなれば今よりももっと気軽に免許返納ができるようになるはず。
旭川市でもオンデマンドバスが必要な理由
高齢運転者によるアクセル踏み間違い事故が全国で増える中、免許返納が安心て行えるような新しい交通手段の整備が望まれる。
旭川市は道内でも高齢化率が札幌より高く、実際に市内でも年に数回、高齢ドライバーによるアクセル踏み間違い事故が発生している。今後はお年寄りがもっと増えることでさらに増加するものと思う。
そういった背景からも免許返納を促進し、原因となりうる要因を排除するのも必要になってくる。その障壁となる代替のアシとして、バスの便が悪いのはかなりのマイナス要因。またマイカーに慣れてしまうとバスはとても使いづらいので、この点も躊躇しやすい。
今は減便で済んでいるが、人手不足や運転者不足で減便から路線廃止に発展する可能性もあり、廃止となれば免許返納が遠のき、いつまでも高齢ドライバーによる事故が減らなくなると思う。
そういった背景から旭川市でも安心して免許返納ができ、利便性の高いオンデマンドバスのようなサービスが必須になってくると思う。
自治体とバス会社やサービス提供会社、地域が一緒になって実証実験を行い、はやい段階での導入が望まれる。
コメント