旭川の人口が32万5000人以下にまで減少
旭川市の人口が減り続けている。かつて最盛期の平成10年には36万人を越える人口だった旭川市だが、平成20年あたりから人口減に反転。平成29年からは33万人を切り、人口減少が続いている。
出典:旭川市の人口より
そして令和4年(2022年)11月には32万5千人を割り込み、32万人以下を切るのも時間の問題になってきた。
もちろんこれは旭川市に限った話でなく、北海道の札幌圏など一部の都市を除くと函館や帯広、北見、釧路など主要都市が全体的も減少となっているのだが、地方都市とはいえ北海道第2の都市としては早急に対策すべき死活問題とみる。
人口減に反比例して増える旭川市の高齢者
逆に旭川市の65歳以上の高齢者はこの20年で2倍にも増え、令和5(2023)年1月現在では総人口に占める65歳以上の割合は34.8%となり、「3人に1人」がお年寄りの高齢化都市となった。
ちなみに札幌市の65歳以上の割合は2020年10月で27.6%。函館市は2020年8月で35.6%。北海道では札幌市しよりもそれ以外の地方都市で高齢化率が高い傾向がある。
これは札幌に若い人が流出し、逆に地方は若い人が減ってお年寄りが残ったり、旭川の場合は近隣市町村からお年寄りが高度な医療と豊富な介護施設や福祉サービスを求め「終の棲家」として移住してくるためである。
高齢化と人口減が旭川に与える影響
都市の人口が減少・高齢化することにより、旭川市に多大な影響を与える。
①社会保障費の圧迫
まず、お年寄りが増えることで病院や介護を利用する人が増える。これにより福祉予算が膨らみ収支を圧迫。個人で負担する国民健康保険料も高くなる。
②高齢者向けのサービス(老人ホーム、サ付き住宅)が増える
高齢者が増えると、これに対応した老人ホームやサービス付き高齢者住宅などが増え雇用も増える。
ただし、そこに雇われる人の給料が良くないと離職率が高くなって人手不足になったり、ブラック環境が原因でサービスの質が低下し、利用する人にも悪影響も。
③消費する財・サービスが変化&売上が低下
高齢者は体力的・身体的負担から買い物や外出の頻度が減り、幹線道路沿いの大型店舗やレストランは利用せず、近隣の店舗やお店でしか消費しなくなる。
旭川では公共交通機関が利用しづらいので大都市圏に比べると自家用車で移動する65歳上も多いが、お年寄りが増えることで確実に影響はあるはず。
また、人口が減少することでサービスを利用する人も相対的に減少。売上の減少につながっていく。
④住宅需要やオフィスビル需要が低下、営業所の閉鎖
お年寄りが増えることでこれから一軒家を購入したり、中心部でオフィスビルを借り上げて事業しようとする人が少なくなり、需要が低下する。
逆に冬期は除雪が大変な一軒家を売り払って老人ホームや福祉施設、病院が近くにあるような集合住宅に引越すお年寄りも増えてくる。
また人口減により大手企業の営業所が撤退・閉鎖し雇用がなくなるケースも。特に北見市では人口減により営業所がどんどん閉鎖している。
旭川は道北の主要都市。ここを拠点として道北や道東に容易にアクセス可能な土地柄なので、北見のような閉鎖のリスクは低いと思うが、展開する企業の収益性によってはありえなくもない。
⑤労働人口(現役世代)の減少で人手不足・廃業が増える
都市の高齢者化が進み人口が減ると、現役世代の年齢が上昇。逆に若い人が減って会社の人たちも年々高齢化。
定年退職後で人が居なくなっても補充する若い人がいなくて人手不足に陥る。
求人募集をしても応募する若い人そのものが少ないから、いつまで経っても応募が無く慢性的な人手不足になって、最後には廃業するケースも。
また、元から人気のない業種や悪評の会社ではではさらに人手不足が加速し、定年退職の年齢を迎えても辞められない状況も。
特に旭川市では20~30代の人口割合が20年前と比較して半分程度まで減少しており、市内企業の一部では高齢化が進んでいる。
⑥高齢者の事故(アクセル踏み間違い)が増える
全国に増えつつあるアクセルとブレーキの踏み間違い事故。旭川市でも過去に何件か踏み間違いによる事故が発生しているが、高齢運転者が増えることでこのリスクも高くなる。
特に旭川市は公共交通機関があまり発達しておらず自家用車の利用が多い地域。高齢ドライバーも多くみうけられる。
自動運転の技術が確率され、高齢者が運転しなくてもすむような時代になれば話は別だが、冬期の自動運転は非降雪地帯よりも難しく、すぐには代替とならないと思う。
⑦市税収入の低下
人口が減少すると市民税や軽自動車税、固定資産税など市の収入源が減少。企業も減り法人税も減少する。
また65歳以上の割当が増えれば現役世代よりも市民税が安くなるので、これも影響がある。
旭川市は子育て支援と若い世代が増える政策が必須&急務
高齢化や人口減による影響ははかりしれず街が衰退する要因になりかねない。
これを打開するには若い人が増え、安心して子育てできる環境を整えることが急務と考える。
しかも人口増加につながるような政策の結果はすぐには出ず、時間もかかることから街の高齢化とセットで考える必要がある。
もちろんそこには働きやすい企業の増加も大事なわけで、ブラック企業が多い旭川市でブラックな環境が改善するよう、働きかけていくことも重要と考える。
旭川には「休みが少ない」、「残業が多い」、「残業代が支払われない」、「給料が安い」といった典型的なブラック企業が多く、魅力的な企業が少なくて若者が就職で街を離れてしまうことも要因の一つとも考える。
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